韓国では来年3月大統領選挙が行われ、これまでと同じように大統領就任期間中の不正・違法行為で逮捕され続けてきた素行の悪い大統領と取り巻きへの糾弾が見られるかどうかの審判とも言える。
不正逮捕の回避に向けた動きとも言える与党「共に民主党」の党内予備選では10日、同党候補に選出された京畿道の
李在明(イ・ジェミョン)知事(56)
は、貧しい家庭に生まれた「少年工」出身の苦労人とする素性を最大限利用し、強引に推し進めてきた政策実行力に定評があるが一方では、数多くの失言や不正疑惑が問題となっている。
市場の清掃夫だった父親の下で、7人きょうだいの5人目として育ったという李氏は小学校卒業後から少年工として工場労働に従事し、作業中に重傷を負い障害認定を受け、現在も左腕に後遺症を抱えているという。
高卒認定試験を経て大学に進み、司法試験に合格し
人権派弁護士
として活動後、ソウル近郊の城南市長選に45歳で初当選した。
若者に一律の支援金を支給するなどの
ポピュリズム政策
で注目を集めた。
2017年の前回大統領選では党内予備選で文在寅(ムン・ジェイン)氏に敗れた。
翌18年の京畿道知事選で勝利したのち
新型コロナウイルス対策
では集団感染が発覚した保守系の新興宗教団体を見せしめにするためか強引な捜査で
信者名簿を手に入れ
たり、政府とは別途に京畿道民への給付金を支給するなどの政策で支持率を高めるなど情報工作を繰り返したことで大統領選有力候補に浮上した。
ただ、権力欲が強いためか歯に衣(きぬ)着せぬ物言いが多く「サイダー発言」として劇場型政治家として人気を集めたりした。
一方、節操もなく相手を喧嘩腰で罵倒したりする暴言などの問題発言がたびたび物議をかもしている。
親族間のトラブルをめぐり、兄嫁を罵倒する音声データが流出したりした。
このほか、知事選のテレビ討論会では虚偽の発言をしたとしても起訴された。
裁判では下級審で有罪を宣告されたが、人事権を握って判事を入れ替えることで文大統領の意のままに動く最高裁で無罪が確定するなど、政治生命の危機を迎える場面でも文大統領に追随して事なきを得ている。
このほか、飲酒運転や選挙法違反による罰金刑で前科4犯となったことや、大学院生時代の論文不正なども確認されている。
素行の悪さは際立っており「品位に欠けるが突破力がある」といった与党関係者の評価もある。