米民主党の大統領候補指名を確実にしたハリス米副大統領は23日、勝利を目指す初の選挙演説に臨み、共和党のトランプ前米大統領の打倒を誓った。
ハリス氏はもう一つの敵として、ヘリテージ財団が主導し、100を上回る保守系団体が参加する「プロジェクト2025」に対し、トランプ氏のホワイトハウス復帰に備える
極端なアジェンダ(政策課題)の脅威
があると訴え、攻撃の矛先を向けた。
があると訴え、攻撃の矛先を向けた。
ハリス氏の演説は、保守系シンクタンク、ヘリテージ財団が中心になってまとめた900ページの保守派マニフェストにいや応なくスポットライトを当てる。トランプ氏の返り咲きで想定される脅威のショーケースを提示する意味合いもある。
トランプ氏はプロジェクト2025と陣営が無関係であり、その構想を全て支持しているわけではないと批判勢力からの追求の矛先を交わしているが、それでも100人余りの中心人物がかつてトランプ政権で働き、提案の多くはトランプ氏および共和党の政策綱領に忠実であり、支離滅裂な回避発言は逆に信憑性を強めている。
気候変動規制の撤廃や勤労者保護の縮小、トランプ氏への忠誠心を選考基準とする公務員の入れ替え、教育省と商務省、国土安全保障省の解体を提案する事実上の政権移行プランは、公表後1年余り批判を浴びており、米国の内部分裂を強める動きともなっており、米国人の多くには脅威であり、ロシアや中国などにとっては好都合な動きだ。
最近の世論調査によれば、民主党がトランプ氏に対抗するキャンペーンの目玉として、その存在を際立たせた結果、6月後半以降プロジェクト2025への認知度が高まり、否定的な見方が劇的に広がってきており、トランプも距離を置く姿勢を示す必要があったが、単なる見せかけでしかないだろう。
ヘリテージ財団主導で作成され、物議を醸すプレーブックには、メタ・プラットフォームズやドミニオン・エナジー、ベライゾン・コミュニケーションズなどの企業ロビイストも関与してきた。
ニューハンプシャー州の共和党委員長を務めた政治ストラテジストの
ジェニファー・ホーン氏
は「トランプ主義の制度化を目指し、共和党保守派の最も極端な連中が広く協力している。極端な信念のために行っている部分もあるが、多くが金銭的利益を得ようとしている」と説明した。
なお、同氏はトランプ氏を支持していない。
ジェニファー・ホーン氏
は「トランプ主義の制度化を目指し、共和党保守派の最も極端な連中が広く協力している。極端な信念のために行っている部分もあるが、多くが金銭的利益を得ようとしている」と説明した。
なお、同氏はトランプ氏を支持していない。
プロジェクト2025の寄稿者の多くは、トランプ氏や自分たちが代弁する企業とのつながりを持つ人物の意見を集めたものであり、利害関係の対立も多く含まれている。
なお、ホワイトハウス改革のセクションは、トランプ前大統領の次席補佐官を務めた
リック・ディアボーン氏
が執筆している。
シェルやベライゾン、アマゾン・ドット・コムといった企業のために同氏は働いている。
なお、ホワイトハウス改革のセクションは、トランプ前大統領の次席補佐官を務めた
リック・ディアボーン氏
が執筆している。
シェルやベライゾン、アマゾン・ドット・コムといった企業のために同氏は働いている。
ダスティン・カーマック氏もトランプ政権の元当局者で、メタの公共政策ディレクターを現在務める。ヘリテージの研究員として情報コミュニティーの章を書いた後、メタに入社した。
退役軍人省の章を執筆したブルックス・タッカー氏は、スペクトラム・グループのロビイストだ。
退役軍人省の章を執筆したブルックス・タッカー氏は、スペクトラム・グループのロビイストだ。
バイデン大統領が週末に選挙戦からの撤退を明らかにして以降、民主党はプロジェクト2025への対応に一層力を注いでいる。
16年の民主党大統領候補、ヒラリー・クリントン氏は、ハリス副大統領への支持表明の中で、ハリス氏が「重罪で有罪評決を受けたドナルド・トランプ候補と、われわれの自由を奪うプロジェクト2025のアジェンダに反対する主張を展開するだろう 」と述べていた。
16年の民主党大統領候補、ヒラリー・クリントン氏は、ハリス副大統領への支持表明の中で、ハリス氏が「重罪で有罪評決を受けたドナルド・トランプ候補と、われわれの自由を奪うプロジェクト2025のアジェンダに反対する主張を展開するだろう 」と述べていた。
ロビイストとプロジェクト2025との関係の調査に携わるNPO、Accountable.USのエグゼクティブディレクター、トニー・カーク氏は「プロジェクト2025は、右派の業界プレーヤーに力を与え、大企業や特定利益集団がわれわれの生活を一層コントロールできるようにした。主要機関への政策提言の背後で誰が糸を引いているか国民は知る権利がある」と指摘した。
プロジェクト2025の中心テーマは
規制緩和
であり、環境および勤労者の保護、ダイバーシティー(多様性)促進、連邦政府による性差別防止といった政府の取り組みを骨抜きにする。提案の多くは企業利益に合致し、政府は関与せず、主に企業に利益をもたらす規則を導入する姿を描く。
規制緩和
であり、環境および勤労者の保護、ダイバーシティー(多様性)促進、連邦政府による性差別防止といった政府の取り組みを骨抜きにする。提案の多くは企業利益に合致し、政府は関与せず、主に企業に利益をもたらす規則を導入する姿を描く。
プロジェクト2025の共同編集者、スティーブン・グローブス氏は執筆者について、「さまざまな政府機関に関する深い知識と、行政機関での過去の職務経験に基づいて選定した」としており、名前を挙げた以外の多くの人々も寄稿したと説明した。
ヘリテージ財団のケビン・ロバーツ会長はわれわれは民間ビジネスを愛し、自由市場を愛している。
しかし、一般国民に不利な形で、「大きな政府と大企業が結託することは好まない」と語った。
しかし、一般国民に不利な形で、「大きな政府と大企業が結託することは好まない」と語った。
ひとこと
トランプの目論見は玉石混交であり、実行したい項目を見せないよう工作があり、衆人に指示されやすい内容だが、相互の利害対立が生じるものばかりだ。
甘い夢を与え、政権を奪取できれば、全てを覆し独裁政治に突き進みかねない脅威を持っており、混乱を作り出して力でねじ伏せつ中で独裁的な動きを呼び込みかねない。