米国では高金利の住宅ローンで新たに借り入れるより、今の住宅に住み続ける「ロックイン」を選択する住宅所有者が少なくない。
この現象が米経済に負わせる負担が積み上がっている状況にある。
全米経済研究所(NBER)が今月発表したワーキングペーパーによると、ロックインは2022年以降、年間で200億ドル(約2兆9400億円)の経済コストを生じさせている。
世帯当たり296ドルの負担に相当するものだ。
ワーキングペーパーの執筆者はこのコストが経済の「死荷重」に該当するとしている。
世帯当たり296ドルの負担に相当するものだ。
ワーキングペーパーの執筆者はこのコストが経済の「死荷重」に該当するとしている。
調査では2022年第3四半期から23年第2四半期まで、住宅ローンを抱えた住宅所有者とローンを抱えていない所有者を比較した。
「レートロック」とも呼ばれるロックインの影響がなかったと想定すると、新しい住宅に移った所有者の数は実際よりも80万人多かったと推定される。
「レートロック」とも呼ばれるロックインの影響がなかったと想定すると、新しい住宅に移った所有者の数は実際よりも80万人多かったと推定される。
住宅ローン金利は約2年前から急上昇し、労働者が引っ越しを見合わせる動機になっている。
引っ越しするとなれば、新たにもっと高い金利で借り入れることになるためだ。
さらに、住宅価格の高騰も問題を悪化させた。
引っ越しするとなれば、新たにもっと高い金利で借り入れることになるためだ。
さらに、住宅価格の高騰も問題を悪化させた。
この結果、全体としての住宅流動性が低下しており、雇用機会に対応した労働者の自由な移動が阻害された。
こうした環境の変化が経済に影響を及ぼしたとカリフォルニア大学アーバイン校とバークレー校の経済学者である執筆者らは論じている。
こうした環境の変化が経済に影響を及ぼしたとカリフォルニア大学アーバイン校とバークレー校の経済学者である執筆者らは論じている。
労働者にとっては高賃金の職やキャリアの機会を失い、雇用主にとっては必要な人材が引っ越しを渋るために、生産性の低い労働者を選択するしかない状況になり得るデメリットがある。
住宅ローン金利のロックインが及ぼす影響を検証した論文は過去にもある。
2023年のワーキングペーパーでは、所有者が固定した金利と最新の住宅ローン金利との差1ポイントに対し、引っ越し率が9%低下すると推計されていた。
2023年のワーキングペーパーでは、所有者が固定した金利と最新の住宅ローン金利との差1ポイントに対し、引っ越し率が9%低下すると推計されていた。