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2024年10月25日

スイス・リー(スイス再保険 Swiss Re Ltd.) 再保険や元受保険による保険サービスの提供を行うスイスの多国籍企業

スイス・リー(スイス再保険 Swiss Re Ltd.)
 スイス・チューリッヒに本拠を置き、再保険や元受保険による保険サービスの提供を行う多国籍企業
 スイス証券取引所上場企業(SIX: SREN)。

 収益 499億5,400万米ドル(2023年)
 純利益 32億1,400万米ドル(2023年)
 総資産 1,795億7,600万米ドル(2023年末)
 総資本 163億7,100万米ドル(2023年末)
 従業員数 14,408人(2022年末)

 1861年5月に発生したグラールスの大火災により、多数の市民が住居を失った際
   大規模な災害に備える保険商品
の必要性が認識され
   UBS
   Helvetia Insurance
の出資により、1863年12月、チューリッヒで
   スイス再保険会社
が設立された。
 翌1864年、ヨーロッパ諸国の保険会社に海上・火災再保険の提供を開始した。
 1865年に生命再保険、1881年に事故再保険の提供を開始した。
 1910年にアメリカ合衆国支店を開設した。
 翌1911年にラテンアメリカに進出した。

 設立初期はスイス国内の火災再保険が中心であったが、第一次世界大戦の勃発時、投資の中心はすでにイギリスとアメリカ合衆国に移っていた。
 1916年、ロンドンを本拠とする
   マーカンタイル・アンド・ゼネラル保険会社
    (Mercantile&General Insurance Company)
の株式の過半数を買収しイギリス事業を強化した。
 のちにプルーデンシャルに売却することもあったものの1996年に同社を再度買収した。
 1923年、航空再保険の提供を開始、また、ニューヨークにアメリカの生命再保険事業を専門に取り扱う子会社
   North American Reassurance Company
を設立した。
 他方で、戦間期はドイツの
   バイエルン再保険会社
を買収するなどヨーロッパ大陸側でも積極的な契約拡大を図った。
 しかし、ナチス・ドイツの台頭に伴い、ドイツ企業との密接な関係は一旦終わりを迎えた。

 第二次世界大戦中、スイス連邦議会はスイス・リーに
   「連邦戦争保険」のテクニカル面での管理権限
を与え、他方、戦争中に発生した負債は
   210億スイスフラン
を超え、10000件以上の請求が支払われた。

 終戦後、東ヨーロッパ地域が共産党の支配下に入ると、スイス・リーはこれらの地域での事業の大半を失った。
 しかし、アジア地域およびオーストラリアへ投資が振り向けられ、1955年にメルボルンに、翌1956年には香港にグループ会社を設立した。
 また再保険以外の保険事業にも投資を拡げた。
 1964年の設立100周年では組織再編が行われ、世界75カ国の約1000社と再保険契約を締結していた。
 1970年代以降も日本やラテンアメリカ地域など国際的な事業の拡大を目指した。
 1988年にイタリアの
   Lloyd Adriatico
を買収した。また同年スイス3位の再保険会社
   Union Re
を買収した。

 冷戦終了後の1992年、タリンに拠点を開設しバルト地域に初進出した。
 この時期に、狭義の再保険企業の枠を越えたリスクファイナンス企業への構造転換が模索された。
 1998年にキャピタル・パートナーズ部門を設立し、同部門はニューヨークとロンドンを拠点とする
   スイス・リー・キャピタルマーケッツ証券
      (Swiss Re Capital Markets Corporation(米国)
    Swiss Re Capital Markets Ltd(英国))
へと発展させた。
 1999年前半にドイツ語表記の
   Schweizer Rueck
を放棄して、スイス国内においてもSwiss Reが正式な呼称となった。

 2000年にアメリカ・カリフォルニア州の再保険会社
   Underwriters Re Group Inc.
を買収した。
 2001年にフィラデルフィアを拠点とする
   Lincoln National Corp.
の再保険部門を買収した。

 スイス・リーの子会社であるAdmin Reは、2004年7月1日の英国の
   Life Assurance Holding Corporation
の買収から始まりました。
 2008年10月31日、スイス・リーはバークレイズPLCの子会社である
   バークレイズ生命保険会社
の買収を7億6,200万ポンドで完了した。

 2005年11月、当時世界5位の再保険事業を持っていたゼネラル・エレクトリックの保険部門
   GEインシュアランス・ソリューションズ
             (GE Insurance Solution)
の損害保険事業を買収し、世界最大の再保険会社となった。

 2007年8月、バークレイズの生命保険部門を買収したがものの
   世界金融危機の発生
に伴う打撃により、一時的に再保険への事業集中化をはかった。

 2009年、世界金融危機で金融市場業務で60億フランの損失を被ったスイス・リーがさらなる自己資本を調達した際、著名な投資家
   ウォーレン・バフェット
は26億ドルを投資した。
 それまで、バークシャー・ハサウェイはすでに3%の株式を保有しており、20%以上を保有する権利を有している。

 2011年5月から翌年にかけて組織再編を実施した。
 持株会社のスイス・リー(Swiss Re Ltd)の傘下に、再保険事業を取り扱う
   スイス再保険会社(Swiss Reinsurance Company Ltd)
と、元受保険を取り扱う
   スイス・リー・コーポレート・ソリューションズ
       (Swiss Re Corporate Solutions Ltd)
などの3つの子会社を置いた。
 スイス・リー・コーポレート・ソリューションズは、ルクセンブルクを拠点とする
   スイス・リー・インターナショナル・エスイー(Swiss Re International SE)
などの子会社を保有する形態とした。

 2013年12月、設立150周年を迎えたスイス・リーは新たな企業ロゴを発表した。
 2014年6月、同社はAdmin Reを通じて、HSBC Life (UK) Limitedの英国年金事業を42億ポンドで買収した。
 ReAssureに改名されたAdmin Re事業は、最終的に2020年7月に
   フェニックス・グループ・ホールディングス
に32億ポンドで売却した。
    
 スイス・リーの事業地域は南北アメリカが約45%で最大の割合を占めており、事業としては再保険事業が約85%、元受保険が約10%となっている。

 2016年5月、カナダのフォートマクマレーで発生した山火事により、推定100億カナダドルの被害が発生した。
 再保険会社の中でスイス再保険が最も大きな被害を受けた。

 2022年2月、スイス・リーが、リオ・ティント・アルキャン傘下の
   アルキャン・ホールディングス・スイスAG
のスイス拠点の再保険キャプティブである
   シャンプレーン再保険会社(シャンプレーン・リー)
をレガシー取引で買収したことが発表された。

 同月後半、スイス・リーは2020年の損失から回復し、16億米ドルの純利益を宣言した。
 それでも、アメリカにおけるCOVID-19へのエクスポージャーは過大であり、自然災害による被害の増加と相まって、利益は18億米ドルの見積もりを大きく下回った。

 スイス・リーは、不動産事業の増加により、損失の一部を補うことができた。
 同時に、取締役会は投資家に対し、ウクライナ危機中の損失リスクは最小限にとどまると保証した。
 2023年12月、スイス・リーは研究主導の洪水リスク情報会社ファソムを買収したと発表した。
 ファソムはブランドを維持しながら、再保険ソリューション部門と緊密に協力して洪水マップとモデルの開発と配布をさらに進めていく予定である。 

 スイス・リーは保険に関する研究部門として、
   スイス・リー・インスティテュート(Swiss Re Institute)
を設立しており、その調査部門のシグマ(Sigma)によるレポートが、「シグマ調査」として毎年公表されている。
 
 日本におけるスイス・リーの歴史は1913年、東京で火災の再保険契約を引き受けたことに始まっている。
 1935年には
   東京海上火災保険
との事業関係を開始した。
 戦後、1957年に
   千代田火災海上保険
などと火災保険契約を締結した。
 また東亜火災海上再保険や住友海上火災保険と再保険契約特約を締結した。
 1972年に最初の駐在員事務所を東京に開設し、1975年に日本で最初の生命保険の再保険協約を
   日本生命保険
   三井生命保険
と締結し、日本における外資再保険会社の最大手となり、取引の増加を受け、オフィスを大手町に移転した。

 1999年にスイス・リー・サービス株式会社(Swiss Re Services Company)を設立し、2004年4月に外資再保険会社として初となる
   日本支店の免許
を取得し、支店営業を開始した。
 再保険事業は、スイス再保険会社の日本支店として、営業が行われている。

 2011年の本国における組織再編と共に、日本においても元受保険を専門とする組織が立ち上げられ
   スイス・リー・インターナショナル・エスイー
の日本支店が2011年4月に開設された。
 同社は2015年に大阪オフィスを開設、現在は
   スイス損害保険会社
の呼称で営業がおこなわれ、火災保険や賠償責任保険、工事保険、取引信用保険などを扱っている。

 1997年、日本の地震を対象とする初めての
   保険リンク証券
を、東京海上火災保険とゴールドマン・サックスと締結した。
 2011年の東日本大震災の際は、消極的な日本の保険会社に先行し、企業地震保険の発売を開始した。
 2013年9月、スイス・リーは、世界の大都市が抱える地震・津波・洪水などの自然災害リスクをまとめた
   報告書「Mind the risk: cities under threat from natural disasters」
を公表した。
 同報告書では、東京・横浜が、自然災害のリスクを最も抱える大都市と分析されている。

 スイス再保険会社は9月11日の同時多発テロ当時
   世界貿易センタービル
の主幹保険会社だったが、オーナーの
   シルバースタイン・プロパティーズ
との保険紛争に発展した。
 2006年10月、ニューヨーク控訴裁判所は、ツインタワーの崩壊は2つの出来事ではなく1つの出来事であるとしてスイス再保険会社に有利な判決を下し、保険金額を35億ドルに制限した。

    
posted by まねきねこ at 16:00 | 愛知 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | よもやまばなし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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