ジョン・マローン(John C. Malon)
1941年3月7日生まれ
米衆国のメディア関連企業
リバティメディア
の会長。リバティ・グローバル、ディレクTVグループの会長も兼務している。
また、2007年からMLB・アトランタ・ブレーブスのオーナーでもある。
1963年エール大学卒業、1967年にはジョンズ・ホプキンス大学で博士号(工学博士)を取得した。
ベル研究所、マッキンゼー・アンド・カンパニーなどに勤務した。
1973年にTCIの社長兼CEOに、1996年には会長に就任した。
自らは議会の介入が煩い地域社会への売り込み合戦には距離を置き、同業他社をM&Aする一方で、買収により株式価値を上げた。
最終的には、TCIを全米最大のケーブルテレビ
MSO(Multiple System Operator、ケーブルテレビ統括会社)
に育て上げ、「ケーブル王」とも呼ばれた。
TCIは1999年に520億ドルで
AT&T
に買収されたが、TCIは自らの株式価値を高めることのみ熱心だった。
このため、顧客満足度を満たせず悪評が高く、杜撰な管理体制と恐ろしく古い設備だけがAT&Tに残った。
また、1990年には番組供給事業を統括する
リバティメディア
を設立した。
1999年のAT&TによるTCI買収の際にTCIの海外部門(2004年、リバティメディア・インターナショナルとしてスピンオフ、翌2005年にリバティメディア傘下のUnitedGlobalComと合併、リバティ・グローバルとなる)やメディア投資部門・TCI Ventures Groupを統合、2001年、AT&Tからスピンオフしている。
マローンのメディア投資スタイルは、新興メディア事業者の立ち上げに出資し、成長したところで他のメディア企業に売却(または株式交換)したり、スピンオフによる株式公開で収益を上げることで知られる。
前者の例としてはFOXスポーツネットやブラック・エンターテインメント・テレビジョン(BET、2000年バイアコムに売却)、テレムンド(2001年NBCに売却)がある。
また、後者の例としてはディスカバリー・コミュニケーションズ(リバティメディアの持ち分をディスカバリー・ホールディングとしてスピンオフ、2008年、他の所有者の持ち分と統合し新たな持株会社・ディスカバリー・コミュニケーションズを設立)、リバティ・エンターテイメント(2009年11月ディレクTVグループと合併)などがある。
しばしば窮地に陥ったメディア事業者に対して救済を兼ねた出資を行っている。
有名なところでは、テッド・ターナーのターナー・ブロードキャスティング・システム(TBS、1996年タイム・ワーナーが買収)、QVCを追放されたバリー・ディラーにTCIが保有するホーム・ショッピング・ネットワーク(HSN)社の経営権を譲渡(現在のIAC/InteractiveCorpの前身)、破産直前だった衛星ラジオ・シリウスXMに対する出資などがある。
日本では、住友商事との共同出資で1995年から1996年にかけて
ジュピターテレコム
ジュピター・プログラミング(現・SCメディアコムおよびJCOM メディア事業部門)
を設立、2004年には
メディアッティ・コミュニケーションズ
に出資するなど、2005年段階で1000億円弱の投資を行っていた。
一方、2007年には住商による
SCメディアコム
の完全子会社化により、株式交換で1050億円相当の住商株式を取得した。
2010年にはジュピターテレコム株式を
KDDI
に3617億円で売却、日本市場から撤退した。
2012年現在、220万エーカー(8万8000平方km or 880億平米)の土地を所有し、個人の土地所有者としては、最大の地主である。
マローンは元来、ルパート・マードックの米国進出のカウンターパートといえる存在で、1996年にはリバティメディアとニューズ・コーポレーション(以下ニューズ社)との折半出資により
「FOX/Liberty Network」
を設立した。
また、リバティメディアが保有していたスポーツ専門チャンネル・Prime Sportsをベースとして、FOXスポーツネットを発足させた。
1999年にはFOX/Libertyの持ち分を手放す代わり、株式交換により8%のニューズ社株式を取得した。
2004年、リバティメディアはニューズ社株式を追加取得し、17%まで出資比率を引き上げた。
しかし、この株式の取得がニューズ社の同意なく行われたため関係は冷却化した。
ニューズ社はポイズンピルを発動したため、結局2006年12月、ニューズ社が保有するディレクTVグループ株式38.5%およびFOXスポーツネットのうち3局との交換で同意し、2008年2月交換完了した。