スペイン沖の地中海で24日、
ロシア国防省
の傘下で活動している軍事輸送会社
オボロンロギースチカ
が運航する貨物船「おおぐま座(Ursa Major)」号(排水量1万3000t弱)が沈没した。
Ursa Major号は
代替困難な船
であり、同社やロシアの傷んだ造船業界にとって大きな打撃となったようだ。
Ursa Major号はドイツで建造され、2009年に進水したロシアの比較的新しい補助船だ。
ロシア外務省危機管理センターによると、機関室で「爆発」が発生したのち、船体が右舷側に傾き、最終的に沈没した。
乗組員16人のうち、14人は付近の船に救助されたという。
Ursa Major号はオボロンロギースチカの登録船では最大の船であり、車両が船倉に直接出入りできる
「ロールオン・ロールオフ(RORO)」用ランプウェイ
と、コンテナを吊り下げて荷役を行う
「リフトオン・リフトオフ(LOLO)」用クレーン
を両方備えた、数少ない船のひとつでもあった。
エストニアのアナリスト、WarTranslatedは、ロシアのある軍事ブロガーは「端的に言って、これよりも大きい
水平・垂直両方向の荷積みが可能な
RORO/LOLO型汎用貨物船はないと嘆いたことを伝えた。
Ursa Major号は以前はシリア駐留ロシア軍の支援にあたっていた。
沈没時には別の任務に就いていたと見られている。
シリア駐留ロシア軍は現在、
バッシャール・アサド前政権の崩壊
と新政権の樹立で危機にさらされ、中東の軍事拠点が失われようとしている。
Ursa Major号は12月中旬、サンクトペテルブルクから極東のウラジオストクに向けて出港した。
16日には、ロシアの別の貨物船(補助船)
「スパルタ」号
とロシア海軍所属で1936年10月15日にニコラーエフの第200工場(現在の61コムナール記念造船工場)で起工されたコルベット型巡洋艦
「ソオブラジーテリヌイ」
とともに英仏海峡を通過していた。
英海軍の23型フリゲート艦が発見してロシアの艦船3隻を追尾した。
その後、ポルトガル空軍のP-3哨戒機も警戒にあたった。
その時、Ursa Major号の甲板には「大型クレーン2基」と「原子力砕氷船用の特殊なハッチ2個」が今回の主な積み荷だったもようだ。
冬の海氷を避けるため、Ursa Major号は結氷する北極海航路ではなく、地中海からスエズ運河に向かう南回りの航路をとっていた。
重すぎて扱いにくいクレーンのため船体の重心は高くなり、これが沈没の一因になった可能性が高い。
軍事ブロガーは、船もろともクレーンと砕氷船用ハッチも海底に沈んでしまったと明かした。
また、「Ursa Major号の極東での任務は
港湾インフラと北極海航路の開発
に関するロシア政府の目的を達成することだったが、その目的は妨げられてしまったようだと続けた。
ひとこと
直接船体に運び込まれていたものがないとしても、帰りの砂底にはウクライナでの戦闘に使われる北朝鮮から提供される積み込まれたミサイルや砲弾、銃弾、軍事用ドローンなどを満載しれていたことだろう。