モリコープ社
(Molycorp Inc.)
コロラド州グリーンウッドビレッジに本社を置く米国の鉱業会社であった。
かつてはニューヨーク証券取引所に上場していたこの会社は、カリフォルニア州のマウンテンパス希土類鉱山を所有していた。
競争環境の変化、生産価格の低下、2014年の再編を経て、2015年6月に破産を申請した。
最大の債権者である
オークツリー・キャピタル・マネジメント
に買収され、
ネオ・パフォーマンス・マテリアルズ
として再編された。
モリコープ社のルーツは、1919年に
エレクトリック・リダクション・カンパニー
の子会社として設立された
モリブデン・コーポレーション・オブ・アメリカ
がニューメキシコ州クエスタで
モリブデン鉱石の採掘
を開始したことに遡る。
1950年、モリブデン・コーポレーション・オブ・アメリカが
マウンテン・パス鉱山権益
を購入し、1952年に生産を開始した。
1974年にモリコープに社名を変更した。
同社は1977年に
ユニオン・オイル
に買収された。
その後、ユニオン・オイルは2005年に
シェブロン・コーポレーション
の一部となった。
2007年、モリコープは
ピッツバーグ・アンド・ミッドウェイ・コール・カンパニー
と合併し
シェブロン・マイニング社
となった。
2008年、シェブロン・マイニングはマウンテンパス希土類鉱山とモリコープの名称の権利を、特別目的会社である
レア・アース・アクイジションズLLC
に売却し、同社は
モリコープ・ミネラルズLLC
に改名された。
同社は、
リソース・キャピタル・ファンズ
ペガサス・パートナーズIV、LP
Traxys North America LLC
カリント・グループLLC
によって所有されていた。
2010年7月29日、モリコープ・ミネラルズLLCの新しく設立された親会社であるモリコープ社は、新規株式公開で28,125,000株を1株14ドルで売却し、株式公開企業となった。
株式はニューヨーク証券取引所でティッカーシンボルMCPで取引された。
2011年4月、モリコープはエストニアの希少金属加工会社
シルメット
の株式90%を8,900万ドルで買収した。
シルメットは
モリコープ・シルメット
に改名され、残りの10%は2011年10月にモリコープに買収された。
2012年6月、モリコープはカナダに拠点を置く
ネオマテリアルテクノロジーズ社
を買収した。
ネオマテリアルテクノロジーズは、インディアナポリスに拠点を置く
マグネクエンチ社
とカナダの希少元素会社
AMRテクノロジーズ社
が合併して2006年に設立された。
ネオジム・鉄・ホウ素磁石の製造会社であるマグネクエンチ社は、 1986年に
ゼネラルモーターズ
によって設立された。
2012年11月、同社は米国証券取引委員会から同社の公開情報の正確性に関する調査を受けていると発表した。
2013年6月、モリコープ社はSECが調査を完了し、いかなる執行措置も勧告していないと発表した。
2014年、同社は中国が支配する市場で多額の資金需要と価格低下に直面し、
オークツリー・キャピタル・グループ
が最大4億ドルのシニア再編資金を提供する入札を勝ち取った。
モリコープは、競争環境の変化、生産価格の低下、2014年の再編を経て、2015年6月下旬に破産保護を申請した。
これと同時に、同社は「主要債権者と17億ドルの負債を再編する」合意が発表された。
同社は最大の債権者であるオークツリー・キャピタル・マネジメントに買収され、
ネオ・パフォーマンス・マテリアルズ
として再編された。
同社の主要資産はマウンテンパス希土類鉱山であり、かつては世界の希土類元素の大部分を供給していた。
この鉱山は以前ユノカルが所有していた。
この鉱山は2002年に閉鎖されたが、2010年に再開された。
中国との競争により、鉱山は採算が取れなくなった。
モリコープの再建プロセスにおいて、鉱山は同社から切り離され、2017年3月に破産裁判所の競売で4000万ドルの入札で売却される予定であった。
2010年12月、日本の住友と三菱はモリコープから希土類元素の供給を受ける契約を締結した。
米国に拠点を置く流動接触分解(FCC)触媒メーカーの
WRグレース&カンパニー
も同様に2010年11月にモリコープと供給契約を締結した。
モリコープは2015年まで、FCC触媒製造に不可欠な成分であるランタンとセリウムをWRグレース&カンパニーに非公開の量で供給することになっていた。
モリコープはさらに、 2011年にエストニアで買収した中国国外の数少ない加工工場の一つ、モリコープ・シルメットを所有している。