ノーム エ ローヌ(Gnome et Rhône)
フランスの主要な航空機エンジン、オートバイメーカーである。
ノーム エ ローヌ(ノーム・ローンとも)は1915年に
ノーム(グノームとも)
ル・ローヌ(ル・ローンとも)
が合併して成立した。
1914年から1918年の間、同社は星型9気筒110馬力のデルタ、およびル・ローヌといった
航空機用ロータリーエンジン
を約25,000基生産した。
その他に約75,000基が各国でライセンス生産され、第一次世界大戦前半において対立する両陣営の多くの飛行機に使用された。
戦間期にブリストル ジュピターを原型とする新たなシリーズの設計を行った。
これは1,000馬力級のすぐれたエンジン「ミストラル・メジャー」と進化して各国でライセンス生産され、第二次世界大戦中に世界で使用された。
ナチス・ドイツのフランス侵攻によって同社の工場はドイツ軍に接収された。
ドイツ国内で適したエンジンが見つからずに量産できずにいた双発地上攻撃機
Hs 129(B-0以降)
に14Mが採用された。
終戦後の1949年、スネクマ(Snecma 現在サフラン)の一部門として接収されて国有化されたが、ブランドはオートバイの製造会社に引き継がれて生き残った。
日本では東京瓦斯電気工業が陸軍の指示によりル・ローヌ 9Cとル・ローヌ 9Jのライセンス生産を行なっていた。
それぞれロ式八〇馬力発動機、ロ式一二〇馬力発動機として生産され、陸海軍各機に搭載されている。
なお、ロ式とは、ローヌ式の意味である。
第一次大戦終結による軍需関係の需要縮小に伴い経営の多角化が行われた。
その一つがオートバイ生産で、英国のABCモーターサイクルから製造ライセンスを購入し、その性能の向上に努めた。
1923年には自社設計による2行程175CCのタイプ“E”、4行程側弁式500CCのタイプ“B”、“C”の販売を開始した。
その後大統領警護隊用のバイクを納入するなど発展を続けたが、第二次大戦後
スネクマ
に合併され、その一部門としてブランド名は残ったものの、1959年にバイク生産を終了した。