テキサコ（Texaco）シェブロン社が所有および運営する米国の石油ブランド

テキサコ社（「テキサス カンパニー」）は、

　　　シェブロン社

が所有および運営する米国の石油ブランドである。

　主力製品は燃料「テキサコ ウィズ テクロン」である。

　また、ハボリン モーター オイル ブランドも所有していた。

　テキサコは、2001 年に精製事業がシェブロン社に統合されるまでは独立した会社であった。

　その時点でガソリンスタンドのフランチャイズのほとんどがアメリカ部門を通じて

　　　シェル社

に売却された。

　テキサコは、1940 年代半ばから 1970 年代にかけて世界の石油産業を支配した

　　　セブン シスターズ

のうちの 1 社であった。

　現在のロゴは赤い円の中に白い星 (テキサスの唯一の星にちなむ) をあしらったもので、長年の広告のジングル「星をかぶっている男にあなたの車を任せられます」や「アメリカの道路の星」につながっている。

　同社はシェブロンとの合併前は、ホワイト プレインズ近くのニューヨーク州ハリソンに本社を置いていた。

　テキサコのガソリンには、2005 年現在、シェブロンが開発した添加剤であるテクロンが使用されており、以前の CleanSystem3 に代わるものです。テキサコ ブランドは、米国、ラテン アメリカ、西アフリカで強いブランドである。

　ヨーロッパにも存在した。

　英国ではよく知られた小売ブランドで、テキサコ ブランドのサービス ステーションが約 980 か所あった。

　テキサコは、スピンドルトップでの石油発見をきっかけに1902年5月1日にテキサス州ボーモントで

　　　ジョセフ S. カリナン

　　　トーマス J. ドノヒュー

　　　アーノルド シュレート

によって 設立され、

　　　「テキサス フューエル カンパニー」

として始まった。

　テキサス フューエル カンパニーは、テキサス・フューエルの資産と追加資本から設立され、油井を掘削したり原油を生産したりする目的で設立されたわけではない。

　これを実現するために、カリナンは 1902 年にテキサス フューエル カンパニーと提携した投資家グループとして

　　　プロデューサーズ オイル カンパニー

を設立した。

　ジョン・W・ゲイツ（「Bet A Million」）のような人物は、「利子証明書」に約9万ドルを投資した。

　将来の再編により、プロデューサーズ・オイル・カンパニーとテキサス・フューエル・カンパニーがテキサコとして合併した。

　同社が追加資金を必要としたとき、J・W・ゲイツは会社の株式と引き換えに約59万ドルを提供した。

　1905年、同社はコンチネンタル・ペトロリアム・カンパニーという名前でベルギーのアントワープに事業所を設立し、1913年に経営権を取得しました。

　1915年、テキサコはテキサス州ヒューストンのラスク通り1111番地にある13階建ての新しいオフィスに移転した。

　1928年、テキサコは当時48州すべてで単一のブランド名でガソリンを全国的に販売した最初の米国石油会社となった。
　1931年、テキサコはイリノイ州に拠点を置くインディアン オイル カンパニーを買収しました。

　これにより、テキサコの中西部における精製およびマーケティング拠点が拡大した。　

また、インディアンのハボリン モーター オイルの権利もテキサコに与えられました。このオイルはテキサコの製品となった。

　翌年、テキサコは全国的にファイア チーフ ガソリンを導入した。

　これは、消防車やその他の緊急車両用のガソリンに関する政府基準を満たすか上回ると宣伝された、

　いわゆる「スーパー オクタン」モーター燃料です。

　 これは、エド ウィンが司会を務める NBC のラジオ番組を通じて宣伝された。

　1936年、テキサス・コーポレーションはコロンビアのバルコ石油採掘権を購入し、

　　　ソコニー・バキューム（現モービル）

と合弁会社を設立して開発に着手した。

　その後3年間、同社は井戸を掘り、山を越えて未知の沼地やジャングルを抜けて海岸までパイプラインを敷設するという非常に困難なプロジェクトに取り組んだ。

　この間、テキサコは

　　　スペイン内戦で

ファシスト民族主義派に計350万バレル（56万立方メートル）の石油を違法に供給した。

　フランシスコ・フランコのファシスト勢力への違法販売により、同社は

　　　1937年中立法違反

で2万ドルの罰金を科せられた。　

　ただ、戦争が終わるまでフランコに違法な信用販売を続けた。

　また1936年には、スエズ以東（アジア、東アフリカ、オーストラレーシアを含む）のマーケティング業務が、カリフォルニアの

　　　スタンダード・オイル・カンパニー（現在のシェブロン）

との合弁事業に

　　　カルテックス

というブランド名で移管され、その代わりにソーカルはバーレーンの製油所とアラビアの油田をこの事業に組み入れた。

　翌年、テキサコは工業デザイナーのウォルター・ドーウィン・ティーグに近代的なサービスステーションのデザインを依頼した。
　1938年、テキサコは、単にエチル化された通常の製品ではなく、ゼロから開発された高級燃料であるスカイチーフガソリンを導入した。

　1939年、テキサコは、全国のテキサコガソリンスタンドのトイレ施設が自動車利用者にとって標準的な清潔さを維持していることを保証する「登録トイレ」プログラムを導入した最初の石油会社の1つになった。

　1939年に第二次世界大戦が勃発した後、

　　　アドルフ・ヒトラー

の崇拝者であったテキサコのCEO

　　　トルキルド・リーバー

は、親ナチスのアシスタントを雇い、ベルリンに「ニューヨークから英国に向けて出航する船舶とその積荷に関する情報を暗号化」して提供した。

　このスパイ活動により、ヒトラーはUボートにより簡単に船舶を破壊撃沈することができた。

　1940年、リーバーはドイツのナチズムとの関係とスペイン内戦中にファシスト軍に違法に石油を供給していたことが

　　　英国安全保障調整局

が作成した情報を通じて

　　　ヘラルド・トリビューン

によって公表され、辞任を余儀なくされた。

　ライフ誌はリーバーの辞任は不当であるとし、リーバーは

　　　ウェストリック

と食事を共にし、社用車を貸与しただけだったと養護した。
　戦争中、テキサコは米国企業の中で軍事生産契約額で93位にランクされた。

　1947年、カルテックスはテキサコのヨーロッパでのマーケティング業務を包含するように拡大した。

　同年、テキサコは英国事業を

　　　トリニダード・リースホールド

と合併し、

　　　リージェント

という名前で経営権を獲得した。

　1956年にリージェントを完全に掌握したが、リージェントブランドは1968年から1969年まで英国で使用され続けた。

　1954年、同社は「スカイ・チーフ」ガソリンに洗浄添加剤ペトロックスを加え、高圧縮エンジンを搭載した新車のノック防止のニーズを満たすためにオクタン価も高めた。

　翌年、テキサコはNBCテレビの

　　　ハントリー・ブリンクリー・レポート

の唯一のスポンサーになった。

　1959年、テキサス・カンパニーは、米国で最も売れているガソリンブランドでとなり、当時50州すべてで単一ブランド名でガソリンを販売していた唯一の販売業者であったテキサコのブランド名の価値をよりよく反映するために、社名をテキサコ社に変更した。

　また、カナダの

　　　マコール・フロンテナック石油会社

を買収し、社名を

　　　テキサコ・カナダ社

に変更した。

　この頃、米国北東部の大手燃料油配給会社である

　　　パラゴン・オイル

を買収した。

　1964年、テキサコはニュージャージー州マタワンのガソリンスタンドで

　　　「マタワン」サービスステーションデザイン

を導入した。

　2年後、テキサコは長年使用されていたバンジョーの看板を、2年前に導入された「マタワン」スタンドデザインでテスト販売されていた新しい六角形のロゴに置き換えた。

　新しいロゴは、赤いアウトラインに黒い太字で「TEXACO」と書かれ、小さなバンジョーのロゴの下に赤い星と緑のTが描かれていた。

　翌年、イギリスのガソリンスタンドでリージェントの名前がテキサコに置き換えられました。

　1970年、自動車メーカーに触媒コンバーターを取り付けさせ、装備された車両に無鉛ガソリンの使用を義務付ける

　　　連邦自動車排ガス基準

がますます厳しくなったことに対応して、テキサコはロサンゼルス地域と南カリフォルニア全体のスタンドで最初のレギュラーオクタン無鉛ガソリンを導入した。

　鉛フリー テキサコは 1974 年に全国的に販売された。

　2 年後、新しいサービス ステーションの設計が導入された。

　セルフ サービスの登場により、鉛フリー テキサコがテキサコ無鉛に、ファイア チーフがテキサコ レギュラーに、スーパー鉛フリー スカイ チーフがテキサコ スーパー無鉛に変更されるなど、いくつかの製品名も変更された。

　1980年11月20日、ペニユー湖/ジェファーソン島で大惨事が発生した。

　契約に基づいて石油採掘を行っていたテキサコ社の作業員が

　　　測量システムの誤った解釈

によって湖の下にある

　　　岩塩鉱山

に届く穴を掘削してしまったため発生した事故で、14-インチ (36 cm) のドリルにより開けられた穴は連鎖的に広がった。

　なお、岩塩鉱山は1919年から掘削されており、いくつもの階層で坑道が構成されていた。

　坑道の天井を支えるために一部の岩塩が残され天井を支える柱として利用されていた。

　ドリルにより開けられた穴から湖水が流入したことで塩の柱が溶け、坑道の連鎖的な崩壊を引き起こした。

　また、坑道へ多くの水が流れ込んだことにより、デルカンブル運河が逆流してメキシコ湾から海水が流れ込んだ。

　これらの結果、10フィート (3m) の深さの淡水だった浅い湖は、湖底が陥没したことでより深い塩湖へと変わってしまった。

　人的被害は幸い報告されていないが、3匹の犬が犠牲となった。

　事故の時点で坑内にいた作業員55人は、事前に行われていた避難訓練が功を奏し、全員避難することができた。

　その後6人が「英雄的行動」により鉱山会社から表彰された。

　1981年末から1982年初頭にかけて、

　　　メデジン・カルテル（パブロ・エスコバルを含む）

　　　コロンビア軍

のほか、米国に拠点を置くテキサス石油会社、

　　　コロンビア議会

　　　小規模産業家

　　　裕福な牧場主

らがプエルト・ボヤカで一連の会合を開催した。

　この会合の結果、準軍事組織

　　　Muerte a Secuestradores（誘拐犯に死を、MAS）

を結成した。

　これは、彼らの経済的利益を守り、誘拐や恐喝から地元のエリートを守るためであった。

　1983年までに、コロンビア内務省は、

　　　MAS暗殺部隊

による政治的殺害を240件記録しており、そのほとんどが地域のコミュニティのリーダー、選出公務員、農民であった。
　1985年11月19日、

　　　ペンゾイル

はテキサコに対して105億3000万ドルの判決を勝ち取った。

　これは当時の米国史上最大の民事判決であった。

　この訴訟は、ペンゾイルが

　　　ゴードン・ゲッティ

と未署名の（しかし拘束力のある）買収契約を結んだ。

　その後、テキサコがゲッティ・オイルを買収する契約を締結したことから始まった。

　1987年、テキサコは破産を申請た。

　これは2001年まで米国史上最大の破産でした。

　1989年1月、テキサコと

　　　サウジアラムコ

は、スターエンタープライズと呼ばれる合弁会社を設立することで合意した。

　この合弁会社では、サウジアラムコが米国東部とメキシコ湾岸におけるテキサコの精製および販売事業の50％の株式を所有することになった。

　1989年、テキサコは、燃料噴射システムを詰まらせる堆積物を減らすことで性能を向上させる最新の洗浄添加剤技術を特徴とする、3つの燃料グレードすべてでシステム3ガソリンを導入した。

　トロントに拠点を置く

　　　テキサコカナダインコーポレイテッド

の子会社は

　　　インペリアルオイル

に売却され、テキサコカナダのすべての小売事業はエッソブランドに変更された。

　2年後、同社は国家芸術賞を受賞した。

　1993年、エクアドルのアマゾンの数十人の部族長と住民は、テキサコのエクアドル沖合掘削現場周辺の地域と川の大規模な生態学的汚染により約3万人の住民が有毒物質に汚染されたとして、テキサコに対して10億ドルの集団訴訟を起こした。
　1994年、テキサコのSystem3ガソリンは、エンジン性能の向上をうたって販売された新しいCleanSystem3ガソリンに置き換えられた。

　1995年、テキサコはデンマークとノルウェーの下流事業を

　　　ノルスク・ハイドロ

の事業と統合し、新しいブランドHydroTexacoとした。

　この合弁事業は、

　　　スタトイル

によるハイドロの買収後、2007年にノルウェーの小売業にYX Energiとして売却された。

　1996年、テキサコは、同社の黒人従業員が起こした人種差別訴訟の和解金として1億7000万ドル以上を支払った。

　これは当時米国で最大の人種差別訴訟和解金であり、特に、

　　　有罪の証拠を隠滅しようと計画

していた会社の幹部との会議の録音テープが公開されたことで、テキサコの広報に打撃を与えた。
　1999年、同社はシェル石油会社と合弁会社

　　　エキロン

を設立し、米国西部および中西部の精製と販売を統合した。

　これにより、2006年に米国最高裁判所でテキサコ対ダガーの独占禁止法訴訟が提起された。

　エキロンのガソリン価格設定に関するテキサコとシェルの独占禁止法上の責任が免除された。

　同年、シェル石油会社とサウジアラムコとの合弁会社

　　　モティバ・エンタープライズ

が設立された。

　なお、スター・エンタープライズの事業がシェルの米国東部およびメキシコ湾岸の精製および販売事業と統合された。
　2000年10月、シェブロン社はテキサコ社を360億ドルで買収することに合意した。

　合併は2001年10月9日に完了した。

　FTCの同意協定で義務付けられている通り、

　　　エクイロン社

　　　モティバ社

の合弁事業におけるテキサコ社の権益はシェル社に売却された。

　シェル社は翌年、テキサコ社のガソリンスタンドをシェル社として再ブランド化し始めた。

　2003年頃、需要不足のため、テキサコ社はパナマのコロンにある製油所、

　　　リファイナリア・パナマ

を閉鎖した。

　2004年7月、シェブロン社は米国におけるテキサコ社のブランド名の非独占的権利を取り戻した。

　翌年8月、テキサコ社は米国とラテンアメリカの一部で燃料にテクロン添加剤を導入した。

　デレク・ベネルクスは、2007年、ベネルクスにおけるシェブロンのマーケティング活動を引き継ぎ、主にテキサコブランドのガソリンスタンド869店を運営した。

　2010年、シェブロンは米国中部大西洋岸地域での小売事業を終了し、デラウェア州、インディアナ州、ケンタッキー州、ノースカロライナ州、ニュージャージー州、メリーランド州、オハイオ州、ペンシルベニア州、バージニア州、ウェストバージニア州、ワシントンD.C.の450店のガソリンスタンドから自社ブランドを削除した。
　シェブロンとの合併前、テキサコの本社はニューヨーク州ウエストチェスター郡のホワイトプレーンズ近郊のハリソンにある75万平方フィート（7万平方メートル）の建物だった。

　2002年、シェブロン社は旧テキサコ本社をモルガン・スタンレーに売却した。

　モルガン・スタンレーは建物と周囲の107エーカー（0.43平方キロメートル）の土地を4,200万ドルで購入した。

　テキサコは1930年代にニューヨーク市マンハッタンのミッドタウンにあるクライスラービルの14フロアをリースした。

　テキサコとのリース契約の一環として、このビルには幹部向けのランチクラブである

　　　クラウドクラブ

がオープンした。

　1977年にテキサコがウエストチェスター郡に移転したことで、1979年にクラウドクラブは閉鎖された。