銀行がリスク移転と資本の効率化を進める中で、銀行が保有する
シンセティック(合成)証券化
の2024年度の残高は6700億ドル(約103兆円)と前年比で18%増加した。
合成証券化の残高とは、銀行が
シグニフィカント・リスク・トランスファー(SRT)取引
を通じ、
貸し倒れリスク
を部分的に外部に移転した原資産の総額だ。
金融市場で最も活発な分野の一つとされる合成証券化の活況が注目される。
同年度にはスペインの
のSRT利用が急増し、英国の大手
バークレイズ
を抜いて残高で首位に立った。
サンタンデールの残高は760億ドル近くに達した一方、バークレイズは前年からほぼ変わらなかった。
JPモルガン・チェース、スタンダード・チャータードも残高が10%余り増加した。
例外となったのは
で、クレディ・スイスの救済合併後に残高は19%減少した。
なお、前年は23%増の5720億ドルとなっていたため、前年度比での残高の伸びは鈍化した格好だが、SRT活用の急拡大は続いている。
一方で金融規制当局は、利用が広がるSRT取引に潜む
システミックリスクへの懸念
を深めている。
SRT取引では通常、銀行が融資の価値の5−15%について
デフォルト(債務不履行)の補償
を受ける。
これにより、銀行は支払い余力に関する指標の改善や成長に向けた資本の解放が可能となる。
今年10月に国際通貨基金(IMF)が発表した報告書によると、2016年以降に合成証券化された資産の総額は1兆ドルを超えている。
ただ、IMFはSRT取得に
短期のレポ取引
が利用されることが多い点を指摘した。
これに対し、銀行が発行する
クレジットリンク債
は一般的に長期で流動性が低い。
このため、市場にずれが生じかねないとみている。
IMFは「これらのレポ取引でマージンコールが急増すれば、ヘッジファンドは
流動性を得ようと他の資産を売る
ため、より流動性の高い他の市場に波及する恐れがある」と指摘した。
欧州中央銀行(ECB)の
グレン・シェーペンス氏
とチューリヒ大学の
アレックス・オスベルグハウス氏
は最近の共同調査リポートで、銀行がSRT取引を活用し、解放された資本を他の用途に利用するようになったため、
実質的に財務健全性は低下
していると結論づけた。


