パナマ文書(Panama Papers)とは、パナマの法律事務所、
モサック・フォンセカ(Mossack Fonseca)
によって作成された、
租税回避行為
に関する一連の機密文書を示す言葉である。
この文書は、1970年代から作成されており、総数は1150万件に上る。
文書にはオフショア金融センターを利用する企業21万4000社の株主や取締役などの情報を含む詳細な情報が書かれている。
これらの企業の関係者には、
多くの著名な政治家や富裕層
の人々がおり、
公的組織
も存在している。
マレーシアの政府基金
1MDB をめぐる汚職事件
をきっかけとする捜査の進む途中で、実業家の
Khadem al-Qubaisi
が、パナマ文書に載っているオフショア会社を経由し、ジュネーヴに本店がある
エドモン・ド・ロチルド銀行
のルクセンブルク支店で口座を開設したことが分かっている。
合計2.6テラバイト (TB) に及ぶ内容は、匿名で2015年にドイツの
南ドイツ新聞
に流出した後、ワシントンD.C.にある
国際調査報道ジャーナリスト連合 (ICIJ)
にも送られた。
その後、世界80か国・107社の報道機関に所属する約400名のジャーナリストが、この文書の分析に加わった。
2016年4月3日、この文書についての報道は、149件の文書と伴に発表された。
関連企業・個人リストの一部追加で20万社超の法人情報は、同年5月10日、日本標準時では同日午前3時にウェブサイトで公開された。
オフショアリークスの検索システム
ICIJ Offshore Leaks Database
に統合され、完成版は随時発表された。
2016年11月までに、文書を利用した捜査で三人の銀行員が
インサイダー取引の疑い
により逮捕された。
なお、同年12月、香港から
エドモン・ド・ロチルド銀行
が撤退した事が同行筋からの情報で明らかとなった。
日本やイギリス、アメリカやドイツなど他国の税務当局の求む
納税情報
の提供を
企業・個人情報の保護
などを理由に拒否して他国が干渉出来ないカリブ海の
英領バージン諸島
ケイマン諸島
や富裕層への税優遇制度の手厚い
オランダ
やアメリカの
デラウェア州
などの国・地域は富裕層の資金が集まるタックス・ヘイブンである。
パナマ文書が流布する以前には、
パウル・ファン・ゼーラント
がパナマにオフショア会社をつくっていた事実が2013年に判明している。
モサック・フォンセカ法律事務所は1977年、 ユルゲン・モサック (Jürgen Mossack)
ラモン・フォンセカ・モーラ (Ramón Fonseca Mora)
により、パナマの首都のパナマシティーで設立された法律事務所である。
同社のサービスはオフショア金融センターにおける企業の設立、オフショア企業の管理と資産管理サービスの提供を含む。
この会社は40以上の国に事務所を持ち、500人以上の従業員を雇用している。
取引相手は30万社を超え、うち大部分は
イギリスの海外領土
のタックス・ヘイヴンで登録する会社である。
連携機関には
など所謂ロスチャイルドなどユダヤ系国際資本の影響下にあるとも言われている大手金融機関がある。
国際通貨基金(IMF)
から、他のメガバンクとの密接なつながりを理由に金融システムへの潜在的なリスクを指摘された。
モサック・フォンセカ法律事務所はこれらメガバンクのクライアントのために、各国の税務調査官に
金融取引を追跡させることができない複雑な財務構造
を作って対処していた。
この流出事件が発生するまで、モサック・フォンセカ法律事務所は『エコノミスト』に「世界で最も口が堅い」オフショア金融業界のリーダーと評価されていた。
『ガーディアン』によると、モサック・フォンセカ法律事務所は「世界で4番目に大きなオフショア法律事務所」であと報道していた。
2015年8月、ドイツの地方紙『南ドイツ新聞』が、
匿名の情報提供者
から、2.6テラバイト(TB)のモサック・フォンセカ法律事務所関連文書を入手した。
法律事務所の共同設立者は5日、文書を破棄したことはなく、国外サーバからの
クラッキング
によるものであり、モサック・フォンセカは、
法律を犯していないこと
を主張した。
流出した文書のデータ量は2.6TBと、2010年の
アメリカ外交公電ウィキリークス流出事件(1.7ギガバイト (GB))
や、2013年の
オフショア・リークス (260GB)
2014年の
ルクセンブルク・リークス (4GB)
や2015年の
スイス・リークス (3.3GB)
より桁違いに大きい情報量であった。
この文書には、1970年代から2016年の春までに作られた480万4618件の電子メール、215万4264件のPDFファイル、111万7026件の写真、304万7306件のモサック・フォンセカ法律事務所の内部データベースの概要ファイル、32万0166件のテキストファイル及び2242件のその他のファイルが含まれた。
また、流出したデータには、約21万4千社のオフショア会社の電子メール・契約書・スキャン文書などが入っていた。
一方、ロシア連邦大統領の
は、ウィキリークスのツイートを引用し、流出は
ロシアを不安定化
させるための
の陰謀であると非難する発言を行った。
2016年6月にスイス当局は、モサック・フォンセカ法律事務所ジュネーブ事業所のIT技術者を、
機密文書の情報漏洩の疑い
で拘束していることを発表した。
漏洩したのはモサック・フォンセカ法律事務所が1970年代から2016年初までに作成した、機密文書合計2.6TBの1150万件であり、21万4488社のオフショア法人に関する情報が含まれる。
これらの文書は80か国のジャーナリストにより分析されている。
ICIJのジェラード・ライル理事長 (Gerard Ryle) がこの漏洩事件を
オフショア金融市場に対する今までで最も大きな打撃
と評した。
の部門で由緒ある
Coutts
が、オフショア法人設立をあっせんした主要銀行として注目された。
オフショア法人の設立あっせんで最大手は
(Banque Internationale à Luxembourg)
の100%子会社
Experta Corporate & Trust Services
であり、親会社ルクセンブルク国際銀行は
クリアストリーム
の創立にかかわった一行であり、1999年
デクシア
に買収された。
パナマ文書には現職・元職の元首や首相の名が列挙されていた。
報道によると、複数の政治家やその親族がオフショア会社と金銭的・権力的なつながりを持っている。
例えば、アルゼンチンの
マウリシオ・マクリ大統領
はバハマのある貿易会社の取締役であるが、この情報は
ブエノスアイレス市長時代
に公開しなかった。
ただ、当時非株式取締役に関する情報公開の必要があったかどうかは不明である。
『ガーディアン』の報道によると、
FIFA倫理委員会
の委員の1人と
エウヘニオ・フィゲレド元副会長 (Eugenio Figueredo)
との間には、
利益相反
の故に大規模な争いがあったことも明らかにした。
2016年5月12日、オーストラリアの
マルコム・ターンブル首相
が文書に名前を発見された。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の本人の名前はないものの、3人の友人の名前は文書にあった。
また、中国の
の義兄のほか、
李鵬元首相の娘
イギリスの
デーヴィッド・キャメロン首相
の亡父、マレーシアの
ナジブ・ラザク首相
の息子、アゼルバイジャンの
イルハム・アリエフ大統領
の子供達、カザフスタンの
ヌルスルタン・ナザルバエフ大統領
の孫、パキスタンの
ナワーズ・シャリーフ首相
の子供達、南アフリカの
ジェイコブ・ズマ大統領
の甥、モロッコの
ムハンマド6世国王
の秘書、メキシコの
エンリケ・ペーニャ・ニエト大統領
の財政的支援者(「大好きな契約者」)、韓国の
盧泰愚元大統領
の息子、国際連合の
コフィー・アナン元事務総長
の息子などの政治家の親族や友人の名前を挙げられている。
プロサッカー界においてもいくつの要人や選手の名前が載っていた。
例えば、南米サッカー連盟の元会長である
エウヘニオ・フィゲレド
や欧州サッカー連盟の元会長である
ミシェル・プラティニ
FIFAの元事務局長である
ジェローム・バルク
アルゼンチンのプロサッカー選手
リオネル・メッシ
などが挙げられる。
レアル・ソシエダに至ってはチーム内複数の元選手の名前
ヴァレリー・カルピン
サンデル・ヴェステルフェルト
ダルコ・コバチェビッチなど
が載られていた。
また、イギリスのプロゴルファー
ニック・ファルド
ドイツのレーシングドライバー
ニコ・ロズベルグ
インドの俳優
アミターブ・バッチャン
とその息子の妻で女優の
アイシュワリヤー・ラーイ・バッチャン
香港の俳優の
ジャッキー・チェン
のようなスポーツ界・芸能界の有名人の名前もあった。
パナマ紙『エル・シグロ』(El Siglo) によると、ジャッキーはイギリス領ヴァージン諸島にある
6つのダミー会社
の株主になっているという。
モサック・フォンセカ法律事務所は長年にわたって巨大な数の企業の管理を行っていた。
特に2009年にその数は8万社を超えていた。
パナマ文書には21か所のオフショア金融センターにある21万社を超える会社の名前が記載されており、そのうち半分以上はイギリス領ヴァージン諸島で設立したものであった。
パナマ・バハマ・セイシェル・ニウエ・サモアなどの地域に設立したものも多くあった。
モサック・フォンセカ法律事務所は100カ国以上のクライアントとは業務上の関係があり、そのうち多くは香港・スイス・イギリス・ルクセンブルク・パナマ・キプロスの企業である。
この法律事務所は500社以上の銀行・法律事務所・投資会社とともに、クライアントの要望に応じて1万5600社以上のペーパーカンパニーを作った。
そのうち、
HSBCは2300社
デクシアは500社
J.サフラ・サラシン (J. Safra Sarasin)は500社
クレディ・スイスは500社
UBSは500社
ノルデア銀行は約400社
のオフショア会社の設立を手伝った。


